中国へ1ヶ月ほどの、そこそこ長い旅行をしたことがあります。もちろん、ひまな大学生のときです。アルバイトしたお金をコツコツ貯めておいて、夏休みや春休みにともだちと連れ立って出かけていくパターン。東南アジアやヨーロッパにも行きましたが、それぞれ予算の都合で2週間から3週間ほどが精一杯。中国は当時はまだまだ物価が安く、長逗留が出来たので、学生たちに人気でした。現地では食費をケチるため、安いお店を探すのですが、ぼくらが北京で見つけた火鍋のお店がかなり安くて、毎日通っていました。
そもそも火鍋は中国では北のほうで食べられることが多いと聞いたことがあります。発祥は中部や西部のほうだとかいろいろ言われているようで、要は中国のどこでも食べられているポピュラーな料理。街を歩いていると、火鍋と書かれた大きな紙を外に張り出しているお店をたくさんみかけました。専門店は専門店であるようでしたが、ぼくらが通っていたのは、火鍋のほかにもいろいろな庶民的な料理を出している、日本でいう定食屋さんのようなところ。食べ盛りの二十歳くらいの大学生がおなかいっぱい食べて、当時で400円しないくらいだったと思います。
宿の近くだったのと、地元の人たちでいつもにぎわっている雰囲気が気に入って、たいてい夕ご飯はそのお店に行っていました。
中国では、外のお店で白いままのお米を食べる人はそんなに多くないみたいで、ぼくらはチャーハンをごはん代わりにして、さらにおかずを頼んで食べていました。店の看板メニューの火鍋もなんどか注文し、出てきたお肉がヒツジの肉だったのが印象的でした。北京など北のほうではヒツジをしゃぶしゃぶのように食べるのだそう。独特の臭みが、お湯にくぐらすとスッと抜けて美味しくなり、店員さんに笑われるくらいおかわりして食べていました。あれからもう10年以上たっているので、あのお店がまだあるとしたら、さすがにもうちょっと値上がりしているだろうなと思ったりします。